この運命を奇跡と呼ぶならば。

「出逢い方〝は〟?」

沖田の顔が、というか、目が子供の様にキラキラと輝き始めた。


「な、何よ…じゃなくて、何だよ…」


動揺で桜は思わず、女言葉がでるがすぐに男言葉に戻した。

「出逢い方〝は〟最悪だったんでしょ?なら、今〝は〟どうなの?」


「え…えっ、ぁ…その、「あの!!!」」


「え?」

桜が言葉を詰まらせていると、少し年配と思われる男女が立っていた。

「あの、ありがとうございました。」

そう言って、男女は頭を下げるのだが桜と沖田は状況ができておらず、ただ、困惑の表情を浮かべていた。


「え…あ、あの…?と、取り敢えず頭をあげてください。」


「ウチの娘がお世話になりました。なんや、浪士に絡まれた所を助けて頂いたみたいで…」

「い、いえ。人として当然の事をしたまでですから…」


この男女は、先程の娘の両親の様でその事から桜はここの店主夫妻なのだろう、と推測した。
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