この運命を奇跡と呼ぶならば。
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伊東を紹介されてから一週間、桜は他の幹部に自分が女だということは黙っているように釘をさして伊東を警戒しながら過ごしていた。


「桜君、伊東さんに目つけられてるよ。ちょっと警戒心を剥き出しにしすぎなんじゃない?」


「そうか…話しかけられても無視したのは悪かったかもな…でも、巡察中だ、集中しろ。」


「無視したって…そりゃ、伊東さんに目もつけられるね。」


沖田の呆れたような声が聞こえるが桜は巡察を滞りなく終らせ屯所へ帰ると、部屋へと戻った。


「私はあいつ、嫌いなのよ。だって…ハッ。」


「だって?」


桜は思わず沖田にこの先の事を漏らしそうになったがすんでのところで留まると先を促す沖田に首を横に振って言った。


「なんでもないわ。総司、伊東には女だとバレないようにしたいの。だから、絶対に言っちゃダメよ。」


「うん。わかってるよ。」
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