この運命を奇跡と呼ぶならば。
「山南さん、明日は食べてくれるかな?」
「さあな。最近、ますます陰気になってきたから…」
原田と沖田がそう言っているのを聞いて桜が土方に言った。
「土方、明日は私が行く。いいか?」
「あぁ。わかった。頼んだぞ。」
「うん。」
桜は土方に許可をもらうと食べるのを再開したが、ある人物が口を開いた。
「誰が行っても同じではありません?山南さんが拒否するのですから、放っておけばよろしいのでは?」
伊東、だ。その言葉に皆が眉を顰め、永倉は我慢ならない、というように口を開きかけたが桜がそれにかぶせて言った。
「…伊東さ「伊東さん。貴方のいいたい事は分かります。ですが、私達にとって山南さんは大事な仲間です。ですから、そのような事を言われてはこちらも不快です。」」
「あら、これは失礼。」
そう言いながらも伊東はクスクス笑っている。桜は席を立つと、「ごちそうさま。」と言って広間を出ようとした。