この運命を奇跡と呼ぶならば。

「ど、ういう…こと」


「私、最初に言ったでしょ。『満月の夜は近づくな』って。」

「桜ちゃん、どういうことなの?」

沖田が尋ねたことを無視して桜は答えるが沖田がもう一度強い口調で尋ねると呟くように言った。


「力の…代償。力の代償なのよ。」


「…力の代償…。」


沖田が桜の言葉を繰り返すと桜がいきなり苦しげに呻き始めた。

「…ぁ、あぁ…ウッ。あぁぁぁッ!!…ゔッ!」

「桜ちゃん!!痣が…」

どういうことか痣が桜の体を締め付けるように光っていた。

「寄るな!!!…あ、ぁぁぁッ」

桜はそう言って沖田を遠ざけるが沖田は桜に駆け寄って力強く抱き締めた。
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