この運命を奇跡と呼ぶならば。
『いえ…貴方には少し酷かもしれませんが、我々も手は尽くしたんです。ですが、もう…ッ』
『…そよ…うそ、なんでしょう?先生、嘘なんてつかないで!!そんな冗談は聞きたくはありません…ッ!!』
『乙宮さん!!現実を認めて下さい…!!これは嘘でもなんでもないんです、事実なんです!!』
最初は信じられなかった。信じたくなかった。
だって、自分を庇って刺された最愛の兄の人生を自分のせいで狂わせてしまった。
私は自己治癒力もあった。
だから、私が刺されれば良かったのにって思ったら自分が生きてることが凄く罪なことに感じられて気がついたら病院の屋上にいたわ。
『ごめんね…春』
涙が頬をスッと撫でて足を一歩踏み出した瞬間、浮遊感が体を包んで目を閉じたのだけれど…
いつまで経っても衝撃が来なくて目を開けば京の町並みが広がっていたわ。
これが私の…過去の全て。