この運命を奇跡と呼ぶならば。

そして、沖田が勝利を確信し木刀を振り上げた時、桜の姿は無く、気がつくと沖田の後ろにまわり、背中に木刀を当てた桜がたっていた。


「おぃ、土方。」

「しょ、勝者、乙宮桜!」


その試合を見ていた人たちは、一瞬何が起こったのかわからず、つっ立っているだけで、ただ一人、桜だけはフッと笑っていた。



「で、土方。私はどうすればいい?」

「あ、あぁ。とりあえず、お前の処遇は幹部と話し合って後で決める。だから、お前は剣を総司と買って来い。」



ボーっとしていた、土方は桜に声をかけられて驚いた様に返事をし、沖田は負けた事が余程、悔しかったのだろう。拳を震わせて、俯いている。そして、桜はというと余裕のある表情で立っていたが、沖田に何か囁いて土方の方へと行ってしまったが、沖田は嬉しそうに桜の方を見ていた。
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