この運命を奇跡と呼ぶならば。
「つまり…春君には力が…?」
「その通りよ。私が春の力を奪ったから春には治癒力がなくて、所詮は他人治癒力しか使えない男子だけど、それでも、普通の人間に比べれば何十倍も治癒力は高かった。…私はそれさえも春から奪ってた。」
桜は淡々と喋るが、声には自分を責める深い哀しみの色が滲(にじ)みでていた。
「桜。君のせいじゃない。」
「…え?」
沖田の声が聞こえると顔をあげた桜の視界が暗くなり沖田に抱きしめられる形になっていた。
「そ、総司!!な、何を…」
「うまく伝えられないけど、君のせいじゃない。僕には、それしか言えないけど。桜は家族を十分愛してるでしょ。きっと、お母さんやお父さんは幸せだと思うよ。もちろん、春君も。」