この運命を奇跡と呼ぶならば。
「皆、落ち着きなさい。」
突然聞こえた声に皆が顔を上げた。
「…近藤さん。」
「皆、総司を待とう。山南さんが帰ってきたら笑顔で迎えよう。だから、そんな思いつめた様な顔をしないで。な?」
近藤さんの暖かくも優しいその言葉に部屋の空気がフッと和らぎ、皆の肩からは力が抜けたが桜は願わずにはいられなかった。
(…山南さん、必ず逃げて。戻らずに、遠くまで逃げて…)
「近藤さん、土方さん、山南さんの処遇。どうにかならないのか?」
「うむ、私も助けたいものだが…」
「…そうだな、近藤さんの言う通り。幹部だからって特別扱いすれば、平隊士から逃げ出す奴が増えるかもしれねぇ。俺も…できる事なら助けたい…」