この運命を奇跡と呼ぶならば。
「お前が、土方さんや俺らに言うとか、何らかの手立てはあった。なのに、どうして何も手を討たなかったんだ!?手を討っていればこんな事にはならずに済んだかも知れねぇんだぞ?!桜!!!」
「やめろ、新八!!!」
「土方さん、でも!!」
「いいから、黙れってんだ!!!」
永倉は土方に怒鳴られ渋々といった体(てい)で座った瞬間、桜の細く震えた声が小さく聞こえた。
「……ごめん。
─────────信じなきゃ良かった。」
「…え」
「ちょ、待てよ!桜!!」
永倉がその声に顔を上げると桜は瞳から大粒の涙を零して、立ち上がったと思うと藤堂の静止の声も聞かず部屋を飛び出した。