この運命を奇跡と呼ぶならば。

「…桜ちゃん、覚えてなよ。」

「多分ね。」



桜のその返事に口を尖らせながら〝ちょっと外に行ってくるね〟と、言いおいて沖田は部屋の外に出ていった。

「えぇ、行ってらっしゃい。」


そして、部屋に残された桜はポツリと呟いた。


「…ダメだな。私、言わなきゃいけないのに…ごめん、総司。許してね、貴方達を…貴方を──────。」

小さな呟きは誰にも聞こえる事はなく、闇に吸い込まれるように静かに消え、目の端の小さな小さな雫が頬へと滑り落ちた。
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