この運命を奇跡と呼ぶならば。
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「…私です。入りますよ。」

桜が囁くように相手の返事を待たずに入ったのは山南さんの部屋だった。

「乙宮君、大丈夫でしたか?」

「えぇ、誰にも見られていない筈です。」

桜の案で死んだ事になっている山南さんは昼間外に出る事が出来ず、事情を知っている幹部が交代制でかわるがわる山南さんの部屋を訪れていた。

「すみません。私があんな馬鹿なことをしなければ、皆さんに迷惑を掛けることもなかったのに…」

「山南さん、迷惑なんかじゃないですよ。これは、私が、私たちが自分達の為にしているんですよ


桜がにこやかに言うと山南さんもフッと小さく笑った。
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