この運命を奇跡と呼ぶならば。
「さぁ、昼餉ですよ。一人で、食べるのは寂しいでしょう。私たちも交代でしか来れないので…」
「いいですよ。こうして、喋り相手がいるだけでも楽しいですから。」
そう言うとお膳を引き寄せると怪我を庇うように御飯を口に運び始めた。
「山南さん、怪我の具合はどうでしょう。」
「…もうほとんど大丈夫と言ってもいいです。乙宮君、ありがとうございます。」
桜が控えめに聞くと山南さんは少し嬉しそうに答え桜も嬉しそうに笑った。
「あ、このことは総司たちには言わないで下さいね。」
桜が悪戯に片目をパチッと閉じると山南さんは戸惑いつつも頷いた。
「…乙宮君、少しいいですか。」
「なんでしょう…?」
次は山南さんが口を開き、桜が訝しげに聞いた。