この運命を奇跡と呼ぶならば。

労咳

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山南に言われた通り桜はここ数日間沖田を注意深く、尚且自然に見ているつもりで観察している。

「桜、箸が止まってるぞ?」

「…あぁ。」

桜たちは広間で食事をとっているのだが観察に夢中でぼーっとしていた桜に原田が声を掛けた。

「お?桜、食欲ねぇのか?そしたら俺が食べてやろうか?」

「新八、それはあんたが食べたいだけだろう。」

「そんな、堅いこと言うなって。斎藤。」

「新八、黙って食え。」

桜は土方と斎藤、永倉のそんなやり取りを横目にもう一度沖田へ視線を戻した。

「…あ、総司も手が止まってんじゃん。」

藤堂の指摘に沖田は少しだけ困った様に微笑んだ。

「おぉ!総司、お前も食欲ねぇんだな!!よし、俺が食べてやるよ!」

「新八、お前と言う奴は…自分の分があるだろう。」

またもや、永倉が食いつき斎藤が諌めたが沖田は立ち上がり言った。


「一君、いいよ。僕はもう部屋に戻るから。新八さん、食べなよ。」

そう言うと沖田は広間を出た。
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