この運命を奇跡と呼ぶならば。
「そ…じ……ど、こ…?ぃ…かな…い、で…」
「泣いてるの?」
笑った沖田とは反対に桜は眉を苦しげに寄せ、涙を流しながら空に向かって手を伸ばしていた。
「大丈夫。僕は…ここに、ここにいるよ。」
桜の手を片手で握り締めながら、涙をふくと寝ている桜の表情が和らいだ。
「だから、安心して。泣かないで。君のそばに今はいるから。…笑った顔の方が好きだよ。
────────────桜。」
沖田はそう言うと桜の頬に掠めるように、小さなキスを落とした。