この運命を奇跡と呼ぶならば。
「あぁ。ありがとう。」
桜はフッと笑うと原田を見上げた。すると、原田はしみじみと言った。
「しかし…お前ってほんとに男前だな。」
「いきなり、なんだ。」
原田の唐突過ぎる言葉に驚いた様子見せる桜に藤堂や永倉も話に入ってきた。
「そうだよな、桜ってすっげぇ男前。男の俺らよりも男らしいというか…」
「それは、褒めてるのか貶してるのかどっち?」
「褒めてる褒めてる。」
「じゃあ、褒めてることにはならない。私は女なんだ。」
桜の言った言葉に永倉と藤堂はそうかっ、と今更ながらに頷いていた。
「あのねぇ…」
「まぁまぁ、桜。入れよ。」
広間に着いた四人は中へ入るとそれぞれの席についた。
「おはようございます、近藤さん。一もおはよう。」
「おはよう、乙宮くん。」
「…おはよう。」
既に広間に来ていた近藤さんと斎藤に挨拶し、土方を一瞥(イチベツ)すると前へ向き直った。
「桜…てめぇ…俺には…」
「あ、あぁ。土方、居たのか。気付かなかった。」
ピキッと額に青筋を立てた土方に対して、桜は今気付いたという風に言うと、ニッコリ笑って言った。
「おはよう、土方。」