この運命を奇跡と呼ぶならば。
そう言ってスタスタと2人で並んで行こうとした。
「…おめぇら、誰が鬼方だって…?」
土方は後ろから2人の襟首を掴んで額に青筋を浮かべている。
「そりゃあ、ねぇ。」
「「土方(さん)しかいないでしょ!」」
2人は目を見合わせ、声を揃えると土方の腕を払い除けてダッーと走り出した。
「おいっ、待やがれぇ!!」
「待てと言われて」
「待つ人なんて」
「「いない(ですよ)!!」」
またもや、声を揃えた二人に今度こそ鬼の形相で土方も追いかけ始めた。
「こっちこっち~♪」
「鬼さん、こっちら~」
2人は愉しそうに手を叩きながら、全力で土方から逃げている。まさに、〝鬼ごっこ〟だ。
「歳~何してるんだ~?朝餉の時間だろう。」
「近藤さ「近藤さん!土方さんってば、酷いんですよ?!」」
3人でドタドタと屯所内を走り回っているとその音を聞きつけたのか近藤さんがひょっこりと向こうの角から顔を出した。そして、近藤さんの名を呼ぼうとした土方の声を遮り被せるように沖田が近藤さんの後ろに回った。