この運命を奇跡と呼ぶならば。
桜が唐突に口を開くと藤堂と同じように空を見上げた。
「私は…この時代の者ではない。でも、ずっとここにいると私が、私はもともとこの時代の者に生まれてここで育った来たようなそんな感覚になる。ずっと、ずっとずっとここに、留まっていたい。そんな気にさえなってくる。」
「桜ちゃん…。確かに、君はこの時代の人じゃない。でも、君は僕らの仲間なんだよ。それじゃ、ダメかな。」
少し憂いを帯びた表情の桜に一つ一つの言葉をゆっくりと紡いでいく沖田に桜は短く答えた。
「いい。」
その返事をすると、3人の顔は晴れやかな笑顔に変わった。
「じゃあ、今日も巡察終わりっ!!早く屯所に帰ろうぜ!!」
「うん。でもね、あんまり早く帰ると怒られちゃうよ。」
沖田の言葉に誰を思い浮かべたのか、藤堂はげっ、と声を上げその様子を見ていた桜はクスッと笑みを零した。藤堂が誰を思い浮かべたのかそれは二人も同じ人物だった。
「平助、言っておいてやろう。貴方の顔を浮かべた平助がげっ、って嫌そうな顔してたって。」