この運命を奇跡と呼ぶならば。
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桜の前から立ち去った藤堂は1人屯所の近くにある壬生寺に来ていた。ここなら誰にも見つからないだろうと寺の縁側に腰掛ける。


そして、先程の桜の泣き顔を思い出してはぁっ、とため息をついた。


あれしきのことで拗ねてしまい桜を傷つけた事に罪悪感を感じる一方で、軽い嫉妬を覚えている自分もいた。

子供の頃から彼らとずっといる自分より新しく入って来て女でもある桜が彼らに重宝されている様に感じていた。

そりゃ、藤堂自身も桜を仲間として好いていたし複雑な心情なのである。

「…はぁっ」

「さ…く~ん!桜くん!」

もう一度ため息をついた時、沖田が桜を呼びながら寺内へと入って来た。

「あ、総司…どうしたんだよ?」

「ん、平助!桜くん見てない?」

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