この運命を奇跡と呼ぶならば。
沖田がそういった瞬間藤堂は勢いよく立ち上がった。
「桜、まだ帰ってないのか?!」
「うん、さっきから捜してるんだけど居なくて…見てない?」
「屯所内は捜したのか?!」
そう言った藤堂の表情には焦りと焦燥の入り交じった感情が見える。
「屯所は一周したんだけど返事がなくて…」
「くそっ…!とりあえず、探しにいくぞっ!」
「あ!平助待って!!」
いきなり走り出した藤堂を急いで追いかけ、大きな声で桜を呼ぶ。
「桜ー!どこだー!!」
「桜くーん!」
「…俺のせいかも…」
「さっくらくーん!…どういうこと?」
桜の名を呼びながら立ち止まった藤堂に自分も立ち止まり静かに尋ねる。
「…桜を、泣かせた。」