この運命を奇跡と呼ぶならば。
結局、屯所内を捜しまわったが桜は居らず二人はどうしたものかと顔を見合わせていた。
「桜、居ねぇな…」
「そうだね。どこ行ったんだろう…?」
沖田は不思議そうに首を傾げてうーん、唸っている。
「総司、どっかわかんねぇか?」
「…あ、あそこかも。」
「なっ…どこだ!行くぞっ!」
ふっと思い出したように沖田は藤堂と屯所を飛び出した。
そして目的の場所へ近づくと小さく声が聴こえてきた。
「…よ…い、ま~……お、わすれ…で」
「う、た?」
聴こえてきた歌に思わず足を止める藤堂に沖田は手招きする。
「きっと、桜ちゃんが歌ってるんだよ。」
「綺麗な、歌声だな。」
藤堂は少しずつ近づく歌声に聞き惚れている様子だった。