この運命を奇跡と呼ぶならば。



♪~ずっとずっと…大好きで…いとおしいよ。
心の底から愛してる。
今、ここに誓おう。
君を愛しぬく事を。
だから、笑顔忘れないで。
君の笑顔が好き、だから~♪



目的の場所が見えると沖田の読み通り歌っているのは桜だった。

目的の場所というのは、いつか沖田が桜の秘密を知ったあの桜の木の丘だった。そして、桜は枝に腰掛け切なげに空を見上げ歌っている。

「…桜ちゃん。」

「…総司、平助。どうしたの?」

静かに沖田が声をかけると存在に気付いていたのか、さして驚きもせず歌うのを止めると木の上から問い掛けた。

「どうしたの、じゃないよ。心配したんだよ?」

沖田が眉を寄せて言うと木の上から飛び降りてきた。

「ずっと、私を捜してたの?」

「そうだよ。心配したんだから。」

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