この運命を奇跡と呼ぶならば。
「そっか…ごめんね。帰りましょうか、土方が怒るわよね。」
沖田達を通り過ぎると一人でスタスタと歩き出す。
「…待てよっ」
「どうしたの、平助?」
藤堂は切羽詰まってる様に先を行く桜の腕を掴んで俯いた。
「…悪かった。言い過ぎた、あれくらいで怒ったりして…。」
「平助、いいわよ。私も叩いたからお互い様よ。」
藤堂が顔を上げると、桜は、ね?と笑った。藤堂も笑い返すと、側で黙って見守っていた沖田が突然走り出した。
「誰が一番に屯所に着くか勝負しよ!」
「あ、ずりぃ!総司もう走り出してんじゃん!」
「待ちなさいっ!」
沖田の突然の提案に、三人は楽しそうに笑顔で屯所に向かって走り出した。