この運命を奇跡と呼ぶならば。
「平助、吐きやがれ…」
「そ、そのっ「平助言わなくてもいいわよ。」」
藤堂がだんだんと可哀想になって来たのか桜は言葉を被せて土方へと向かった。
「…あ、別にバカにしててこんなこと言ってるわけじゃないのよ?あの場所は、私のくつろぎの場なの。何かある度にそこへ逃げて、そこへこられちゃ私の憩いの場がなくなるじゃない?だから、ね?それだけは勘弁してよ?」
桜は誰も口を挟む間を与えないように早口で言うと土方に詰め寄った。
「…はぁ。わかった。」
「本当?」
「あぁ、但し。」
喜びかけた桜は但し、と言わせた瞬間ぴたっと動きを止めた。
「…但し?何かしら。」
「勝手に、刀も持たずに出て行くな。心配にするだろうが。」
そう言うと、綺麗な長い髪をぐしゃぐしゃと掻きながら顔を背けぶっきらぼうに言い放った。
「あれ?土方さん照れてます?」
「っ…るせぇ!!黙ってろっ!」
「へぇー。図星、ですか?やっぱり、照れてるんですねぇ」
髪の間から覗く耳の先は赤く染まっていて、それを目敏く見つけた沖田はおもちゃを見つけた子どもの様に笑いながら言い、図星の土方はクルッと顔を高速で回転させて否定したが、それが逆効果だったようで沖田は揶揄いながらクスクスと笑っている。