この運命を奇跡と呼ぶならば。
「いいじゃない、土方は心配してくれただけなんだから。ね?」
「るせぇってんだろ!」
「ありがとね、土方!!」
土方の言葉を無視し満面の笑みを浮かべた桜を見て笑みを向けられた土方はもちろん、それを見た沖田も藤堂も顔を紅く染めた。
「…なによ。三人して顔を背けて。失礼よ。」
「そ、それは、だな…」
「…まさか、こいつ理由を分かんねぇんじゃ…」
土方は思い切り照れた様子で、藤堂は有り得ないものを見ているように驚いていた。
「わかってるわよ。…気持ち悪かったんでしょ。」
「なっ…やっぱり、わかってねぇ。総司、お前からも何か言ってや、れよ…。」
不機嫌になった桜にため息をつきながら、沖田の方を振り返ると藤堂は固まってしまった。
「おい…総司?」
「どうしたの?」
「桜、見るな…。何も聞くな。」
そう言うと、藤堂は桜の耳と目を塞いだ。
「なによ。総司、何かあったの?!大丈夫なの?」
「大丈夫だけどよ、今は総司を見るな。総司が可哀想になる。」
そう言った藤堂の視線の先には信じられない程、顔を赤くしている沖田がいた。
「っ…。」
「総司、おめぇ。」