この運命を奇跡と呼ぶならば。
「土方さんも、平助もうるさい。それ以上何か言ったら、斬るよ。」
手で顔を隠しながら、藤堂や土方を脅すがそんなふうに言っても威力など全くなくただただ、二人はそんな沖田を見て顔をニヤつかせるのだった。
「なによ、もういいかしら?」
「桜、俺と一緒に外へ出よう。今はそっとしておいてやろう。」
そう言って藤堂の手を退けようとする桜を連れて部屋を出ていった。
「土方さんも出て行ってくださいよ。」
「なんで俺が出てかなきゃなんねぇんだよ。ここは俺の部屋だ。」
そりゃあそうだ、土方の言う通りなので返す言葉もなく脚を三角にするとそこに顔をうずめた。
そして、土方は単刀直入に訊ねた。
「桜の事好きなのか、総司。」
「なっ…土方さん、僕は別に…。」
「総司、正直に答えろよ。」
土方がなんだか嬉しそうな声だが沖田にはそんなことを気にする余裕もなく立ち上がって言った。
「あぁっ、分かりましたよ!答えればいいんでしょう!!」
「あぁ、そうだ。で、どうなんだ。」
「…好きですよ。桜ちゃんの事は本当に。」
「ほぅ、そうか。」
「…でもね、」
やはり、と言うように土方は頷いたが沖田が桜を好きだというその声はどことなく沈んでいて寂しそうだった。
「僕は、彼女に想いを伝える気は…さらさらありませんよ。」
「どうしてだよ。」