この運命を奇跡と呼ぶならば。
そう言って永倉は悔しそうに座り込んだ。桜はかける言葉が見つからないようにとても落ち着かない様子で視線をさまよわせている。
「…なぁ、桜。」
「佐之?」
「お前はいいやつだな。…いつも酷いことをしてきたり、泣かせてばっかの俺達を心配して。」
原田は桜の方へ寄るとわしゃわしゃと桜の髪を掻き回した。桜は不自然な笑顔を浮かべて俯いた。
「…それでも、私にとっては皆大事な、仲間だから。」
「桜、無理するなよ。俺らでよかったらなんでも言えよ。」
「ありがとね。…でも、大丈夫だから。私しか…私にしか出来ないの。」
桜はそう言ってクルッと原田に背を向け二人を置いて出て行った。
「…お前にしか出来ないこと?ホントに、大丈夫なのか…?」