この運命を奇跡と呼ぶならば。

そして桜が斎藤の部屋の前まで来た時、丁度向こう側から斎藤が歩いてきた。

「…桜。どうしたのだ?」

「今あなたのところに行こうと思ってたのよ。」

「そうか。とりあえず、中には入れ。」

桜は促されるままに中に入ると腰を落ち着けた。

「で、用件は?」

「あぁ、ここを出た後平助に気をつけていて欲しいの。きっとしばらくは沈んだ顔になってると思うから。」

斎藤は鷹揚に頷くと、唐突に質問をぶつけその質問は桜を大いに戸惑わせた。

「…桜。総司が好きか。」

「っ…そ、れは…。」

「最近のお前は、なんだか苦しそうだ。特に総司が労咳に罹ってからというもの、あいつを見て愛しい者を見る目で苦しそうに見つめていて。」
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