この運命を奇跡と呼ぶならば。
「お前ら、怖いぞ。迫り過ぎだ。」

ふと、冷静な土方の声に全員が顔を上げると桜はふっと肩の力を抜いた。

「わ、わりぃ。」

「俺らそんなに迫ってたか?」

「すごい形相で。必死過ぎて怖かった。」


本人たちは無自覚のうちのようで桜の引き攣った顔を見て顔を青くした。

「ホント悪かった。」

「…別に。」

誠意のこもった謝罪に桜はぶっきらぼうに言うと、そのあとに小さく付け足した。

「佐之、にぃさん。」

「なっ…桜。今の…」

「別に、いいよ。…にぃさんって呼んであげないこともないけど。」

桜はだんだんと尻すぼみに声が小さくなっていったが、気にせずその言葉に永倉と原田は拳を突き上げ雄叫びをあげながら喜んでいる。

「よっーーーしゃ!!」

「桜、俺も呼んでくれよ!!!!」

「新にぃさん。」

「おおっ!」

あまりのテンションの高さに沖田や土方などは引いている。


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