この運命を奇跡と呼ぶならば。
すると、土方はそのことか、と桜の顔を見た。
「今回はあいつは参加させない。留守番だ。」
「そう。」
一瞬だけ桜はホッと胸を撫で下ろした。
「ねぇ、平助のことは私に任せて欲しいの。逃がすときは一緒に私も行きたい。」
「無事に連れ出せるか、力を使わずに。」
「使わずに連れ出してみせるわ。」
土方と桜はしばらくにらみ合っていたが、やがて土方が先に目を逸らし近藤のほうにチラっと目をやった。すると、近藤は優しく微笑みなが小さく頷いた。
「はぁ、しゃあねぇな。」
「よし!」
「…ただし、必ず怪我をすることは許さん。」
最後に言った土方の頬は少し赤くなっていた。