この運命を奇跡と呼ぶならば。
「で、斉藤?その潜入してた結果はどうだったんだよ。そっちの方が重要だろ。」
「確かにそうだ。伊東甲子太郎は近藤局長の暗殺を目論んでいる。」
予想通りの返事に桜も土方も驚くことはなく冷静に表情を変えることはなかったが原田や永倉はそうもいかず目を見開き拳をどんっと床に叩きつけた。
そして、キッと睨むように土方を見据えて言った。
「どうするつもりなんだ、あんたは。このまま近藤さんの暗殺計画を実施させる訳じゃないだろ。」
「…当たり前だ。近藤さんを殺らせるわけねぇだろが。」
「じゃあ、どうすんだよ!」
「伊東甲子太郎を暗殺する。」
土方は睨むようにこちらを見ている永倉にも負けない視線で静かに言い放った。そして、それはまたもや永倉と原田を驚かせるのに十分な言葉だった。
「伊東さんを?それじゃあ、やってることは同じじゃねぇか!!」
「あぁ。だか、殺られる前に殺らねば、俺たちが殺られるんだ。」