この運命を奇跡と呼ぶならば。


「くそっ…。」


「新八、少し落ち着け。熱くなりすぎだ。」


「けどよ…。」

近藤を殺させるか、伊東を殺すか。だが、近藤を殺らせるわけにはいかない。永倉もそれがわかっているから反論の言葉が出て来ない。


「きっと、伊東はこの先も俺たちの害になり得る。だから、この好機を逃せば次はないかもしれねぇ。」


土方はそういうと立ち上がりさっきの雰囲気とはうってかわり柔らかな声音で言った。


「さぁ、俺にも仕事がある。お前達もそれぞれの仕事に戻れ。」


「…失礼しました。」

だが、有無を言わせない声音でもあり、斎藤のその声で桜達も部屋の外へ出た。



「なぁ、桜?」


「なにかしら。」


「平助は…あいつも戻って来るのか。」



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