この運命を奇跡と呼ぶならば。
斎藤が言うと桜は俯いていた顔を上げ、永倉や原田は気まずそうに顔を見合わせた。
「あんたたちはいつも熱くなりすぎる。もう少し冷静になれ。」
「わりぃ…」
「いいのよ、気にしないで。」
斎藤の言葉に思い当たる節があるのか永倉は大きな体を縮ませて謝ると小さく笑いながら桜が言った。
そして、斎藤はくるっと背を向け一人さっさと歩き始める。桜はそれを小走りで追いかけるとなんだか機嫌が良さそうにニコニコと笑みを零していて、それを見た斎藤は不思議そうに首を傾げる。
「なにがそんなに可笑しいのだ。」
「いいえ、なんでもないのよ。ありがとう、一。」
「いや、別に俺は何もしていない。それに、俺たちはお前を信頼しているのだから。」
すると、今度は桜が良く分からないと言うように首を傾げる。
「つまりだ、少しは頼れ。」