この運命を奇跡と呼ぶならば。
桜はピタッと立ち止まり斎藤の言葉を理解するとゆっくりと目を見開く。そして斎藤は振り返らずそんな桜に問いかける。
「どうしたのだ。」
「…いいえ、一がそんな事を言うなんて珍しいわね。」
「そうか…?」
どこか余所余所しい斎藤に違和感を覚え桜は斎藤の顔を覗こうとすると桜の視線から逃れようとするに顔を背ける。だが、桜は諦めようとせず顔を背ける斎藤の顔を覗きこもうとしまた顔を背けられる。
そして、そんな事を延々と繰り返していると後から追いかけてきた原田と永倉に呆れ顔で溜息をつかれ、なにをしてるんだ、と問いかけられる。
「顔を見せて欲しいのに、そっぽ向いて見せてくれないのよ。」
「…ほぉ。そういう事か。」