この運命を奇跡と呼ぶならば。
「いいじゃないか、歳。俺も藤堂くんが戻って来るなら嬉しいぞ。」
どうするべきか悩んでいる土方に近藤が笑いながら背中を押す。そして、後一押しのところに横から声が入る。
「近藤さんも言ってるじゃない。一体、何を悩んでいるの。隊士が平助について行かないのならそれを助けるのが私たちでしょう。」
「桜…。」
「総司は?」
「適当に説明して部屋に置いてきたわ。それより、土方どうするの?」
部屋に入って来た桜は斎藤の隣が空いていたのでそこへ腰をおろすと視線を質問と共に投げかける。
「そうだな。俺もあいつに戻って来て欲しいし、斎藤や桜の言うとおりだな。」
土方がそう言うと張り詰めていた部屋の空気がふっと和らぎ、皆の肩の力も目に見えて抜けていくのがわかる。特に、永倉や原田は藤堂とも仲が良かったので人一倍、安心した様子が見えた。