この運命を奇跡と呼ぶならば。
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「なぁ、桜。後どれくらいなんだ。」


「もうすぐよ、近藤さん達が伊東を連れてくるわ。」


遂に、油小路事件の夜が始まり緊張感漂う路地で近藤達が伊東を連れて来るのを桜達は息を潜め待っていた。

だが、なかなか来ない近藤達に集中力が欠け始めている者も出て来ていた。その筆頭が永倉だ。


「さっきからそればっかじゃねぇか。ほんと、いつなんだよ。」


「お前達静かにしないか。今、此処に来たら声が聞こえてしまうだろう。」


「へいへい。仰せのとおりにー。」


永倉は注意した斎藤に適当に返事を返すと面倒くさそうに頭を掻く。そして、それを見た斎藤を溜め息をつき、注意しようと口を開きかけるとピタッと動きを止めた。


「お?どうした、斎藤?」


「静かに。声が…」


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