この運命を奇跡と呼ぶならば。

後ろの暗闇から伊東の部下の男たちが数人出て来て笑い声をあげる。また、男たちも伊東ほどではないが顔を赤くして酔っ払っているようだった。


「いいえ、居ます。あなららちも刀を抜きらさい。(貴方達も刀を抜きなさい)」


その言葉に周りの男たちは戸惑い、お互いの顔を見合わせている。そして、桜たちは頷き合いこのままではまずいと判断し路地から飛び出した。



「…っ?!だ、誰だ!!何者っ?!」



混乱する男たちを傍目に桜たちは刀をすらりと抜き取る。


桜たちは身元が分からないように、羽織はせず黒ずくめの装束を纏っていた。


「悪いがあんた達にはここで殺されてもらう。」


「ふ、ふざけるなっ!!!!」


ここで男たちは漸く自分たちの置かれた状況に気付き刀に手を掛ける。が、それも意味をなさず刀を抜き終わる前に辺りに血しぶきが飛び散る。
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