この運命を奇跡と呼ぶならば。
そして、それをきっかけに火蓋が切られ、刀同士がぶつかり合い辺りには紅い花が咲く。
「伊東っ!」
そんな中で、一番の目的である伊東を多数の隊士が襲うが伊東派の者達に阻まれてなかなか目的を果たせない。
だが、ここでぐずぐずしていてはまだ近藤達と共に居るはず伊東派の者が後からやってくる。そうなれば、伊東派の者達は助太刀に入るだろう。それこそ今夜の奇襲も意味を成さない。だから新選組としては少しでも有利なこの状況で早くけりを付けなければならない。
そして、桜は伊東派の者達を蹴散らし、伊東へと真っ直ぐ進んでいく。
「…覚悟っ!」
「きらさい(来なさい。)」
伊東の呂律は戻ってはいなかったが、足取りはしっかりしたもので普段の覇気を取り戻しつつあった。