この運命を奇跡と呼ぶならば。
そう言いつつ、桜の顔から笑顔がこぼれる。そして、握っていた沖田の手を自分の頬へそっと添えた。
「…総司。私……私は…多分、もうすぐ…。」
「もうすぐ…?」
「起きたの?」
「うん。……ねぇ、もうすぐ…何があるの?」
桜は沖田が寝ていると思っていたばかりにいきなり返ってきた返事に驚き、沖田の顔を見るとぱっちりと目を開けていた。
そして、この先の自分の未来を知らぬ間に声に出していたらしい桜は沖田に返事のかわりにぎゅっと沖田の手を握りなおした。
「…そういえば、ご飯持ってきたの。食べれそう?」
「少しだけなら。」
沖田はそう言いながら桜の助けを借りてゆっくり起き上がる。
そんな自分の姿を見て桜に聴こえないように小さくそっとつぶやいた。
「…情けないなぁ。」
「え?」
「なんでもないよ。」
少し疲れたような笑顔を浮かべて、桜が自分の前に置いたお膳からお箸を取るが、食欲がなくなかなか箸が進まない。