この運命を奇跡と呼ぶならば。
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「…どうして……いうつもりなんかなかったのに……。」



己の気持ちを告げたとき、沖田は驚きを露わにして微動だにしない桜を有無を言わせない形で無理矢理外へ追い出しのだ。


困らせることをわかっていたから今まで黙っていたはずなのに気付いたら口から桜に自分の気持ちをさらけ出してしまった。

そして桜を追い出したのは何より愛しく思っている桜からの返事を聞くのが怖かったから。未来へ帰ると言っていた彼女のことをこんな風に引き止めてしまうかもしれないことを望まなかったからなのに。


きっとこんな自分を愛してくれているはずがないと、沖田自身が思っているからだ。



「…なのにっ…。わかっていた、のに。」



自分の想いなど一生告げるつもりなどなかった、ずっと、自分が死んでも彼女にだけは。


沖田の脳裏に自らの想いを伝えた時の桜の顔が焼き付いて離れない。

今まで見た事のないくらいの驚きと、なにか混乱した様子の桜を見てはっと我に帰ったのだ。そして、同時に桜を追い出してしまった。


この先、絶対自分の隣に桜がいることも、桜の隣に自分がいることもありえない。なぜなら自分は病に倒れ、桜は兄のいる未来へ帰るからで、一瞬でも自分の隣に桜がいて欲しいと願った自分に思わず嘲笑がこぼれる。


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