この運命を奇跡と呼ぶならば。
そうして、女の子が走り去るのを見届けると桜もその場から立ち去ろうとした時、向こうからバタバタとかけてくる足音が聞こえて来て、浅葱色の羽織りを羽織った男達が走ってきた。
そして、その中からある美青年が桜が行こうとする道を塞ぎ道で伸びている男には目もくれずとても面白そうなものを見つけたというような顔で喋りかけてきた。
「ねぇ、そこの君。この男君が気絶させたの?」
「そうだが…?何か用でも?何もないなら失礼する。」
そう言いながら立ち去ろうと、歩きだそうとする桜を美青年が呼び止める。
「待ちなよ。君、すごい怪しいからさ。屯所まで来てくれない?」
「断る」
「拒否権はないよ」
「断る。」
そういったやりとりが続き二人の間には火花が飛び散りそうなくらい睨み合っていたがやがて桜は青年から目をそらし、息をつきながら答えた。
「…わかった。ついて行けばいいんだろ。」
と、半ば自分に言い聞かせるような顔をしながらも了承の意を伝えるとそっか、と男は桜の腕を掴んだ。
「なんだ?この手は。」
「ん、君に逃げられちゃ困るからね。さっ、行こう!!!!」
男はそう言うと桜の腕を掴んだまま走り始めよく状況を理解できていない桜は引っ張られるがままに連れていかれた。