この運命を奇跡と呼ぶならば。

「あれ?一君、桜君を心配してるの?」

「あぁ、乙宮はなにかある。瞳が''何か''を訴えている気がしてな…」

「"何か"…か。一君も気付いてたんだね。彼は、“春”を待ってる気がする。」

沖田が言った最後の言葉を聞いた瞬間桜は酒を注ぐ手を止め固まってしまった。

「あれ?お翠珠さんどうしたんですか?体調でも?」

「…ハッ!い、いいぇ…少し疲れているようどす。そろそろお暇致します…」

沖田に声を掛けられ返事はしたが頭の中は真っ白で襖を出て行った。

…出て行く際に聞こえた原田の

「俺、まだ酌してもらってねぇんだけどよぉ…」

と言う声も聞こえず…
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