大切なもの
1週間して、明日香が病院から退院した。
退院した次の日。
学校があったけど、何も予定がなかったから、明日香の家に遊びに行ってみた。
ピンポーン ピンポーン
インターホンが鳴り響く。
〔はい。〕
「恋華だよー遊びにきた!!」
〔今開けるね♪〕
しばらくするとドアが開く。
目の前の光景に唖然とする。
目の前にいる明日香は目が晴れていた。
手はボロボロになっていて、切ったような跡だった。
玄関先では何も言わずに、中へ入る。
明日香は手慣れた手付きで紅茶を入れてくれた。
「明日香……前より酷くなってない?明日香はコウさんにそんなことされてもまだ好きなの?」
「…………………」
明日香は黙って下を向く。
「今の明日香は幸せに見えない。」
「もう………愛してないかも…………。コウは凛が生まれて…………私は退院してすぐに買い物に行ったの………そしたら、なんで家にいないんだって一発殴られた。その傷がこの目のところ………手は、分かんないけどいきなり切りはじめたの………離婚したい。幸せになりたいよ…………」
明日香は泣き崩れてしまった。
拓夢に相談しようとしたけど、明日香のことをあまり知らないから、話すのは辞めといた。