大切なもの
明日香はいつもと変わらない笑顔を見せていた。
私はもう大丈夫!!
と思っていた。





「うち彼氏と帰るね。」
何日かして、いきなり言われたこの一言。


「彼氏って誰?」


「アツシって言う人。」
誰それー――。
って思ったけど口に出したらまずそう。
「分かった。」
そう言うと烈が一緒に帰れるかどうかを聞くために2年の教室の方に走る。




「烈ー。今日一緒に帰れる?」
周りの視線が痛い。
烈の周りには女の子達がいっぱいいた。


やっぱりモテるかぁ。
「あっ!!無理ではないけど……これが終わらなきゃ帰れないんだ………どうする?一人で帰る?」


女の子達はまだ睨みつけている。


「そっかぁ。帰ろうかな。」


「そう言えば明日香ちゃんは?」

女の子達の話題が明日香の話になる。
―明日香って誰?―
―アツシの彼女じゃない?―
そんな声を耳にする。

「アツシっていう人知ってるんですか!?」


勢いよく聞いた私に驚く女の子達。


「知ってるよ。クラスメイトだもん♪」


烈と同じクラスだったのか……


で明日香ちゃんは?
と烈が話を戻す。


「明日香彼氏と帰るって帰っちゃった。だから、烈誘おうかなーって……人がよすぎるか………」




「恋華俺と帰らなかったら一人じゃん。やっぱ待ってて!!一人じゃ危ない。」


分かった
とだけ返事をしてバックから携帯を出す。




携帯を開くと明日香からメールがきていた。



【うち今の彼氏のこと本気で愛せないと思う。

何でかは聞かないで。】

【そっかぁ。】
と送り携帯を閉じて大きなため息をつく。
はぁー…。
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