光 (ver.2005)

第12夜・高山碧吏(6)

12月18日

今日、実家に帰った。
今埼玉の実家でこれを書いている。

これ以上マユりんに迷惑かけられないし、やっぱり友達とはいえ、不自然な同居って気を使うし。

マユりんは、安心するまでずっといても良いって言ってくれたけど、そうもいかない。
私も、もう大人なのだ。
他人に頼らずに、一人で解決できる。
ま、実家に頼っちゃってるけど。
これは、アレだ。ちょっと早い里帰りだ。

今年の仕事は、この間マユりんと北島さんの不思議なしりとりを聞きながら全部終わらせちゃったし。
仕事納めが済んだら、人は実家に里帰りするものだ。
そう自分に言い聞かせる。

両親も、朱美も、私の早めの里帰りを喜んだ。
母は家事を押し付けてくるし、朱美は朱美で「姉ちゃん、卒論手伝って」とか言って、何かと頼ってくる。

必要とされるというのは、とても気分がいい。
自分の居場所がはっきりするから。
だから、家事も、朱美の卒論も、特に苦にはならない。
あの男のことは、家族には言えない。
心配されたくはない。
だから、マンションを引き払うときも、家具は全て、実家に送ったりせずに、捨てた。

正月三日まではここに居よう。
それからのことは、正月までに決めておけばいい。

今、とても楽だ。
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