光 (ver.2005)

第7夜・川端国男(4)

2005/12/13(火)

日記って何だろう、とちょっと考える。
そもそも「言葉」は、コミュニケーションのための道具に過ぎない。
自分の心の中にあるものを、相手の心に投影させるための道具に過ぎない。
それ以上でも以下でもない。
だから、言葉を使った表現は全て何らかのモノを相手に伝達することを目的としている。

要するに「言葉を発する」ことは、「メールや手紙を送る」のとその根底の部分で同じ意味だと思う。

では、日記はどうだろう。
誰かに読ませることを前提としない日記は、何なのだろう。
仮に「記録」なのだとしたら、現在の自分の環境や思想を未来の自分に伝えるという意味で、それは「自分にあてて書いた手紙」と言うことが出来る。
誰かに何かを伝えるための道具、即ち「言葉」は、その伝えるべき対象がなければその力を失う。

だから、ぼくはこの日記を「誰かに読ませる」ことを前提として書く。
そうしなければ、言葉なんて出てこないと思うからだ。

これを読むのが他人なのか、それとも未来の自分なのか、それはわからない。
だけど、その「見えない読者」に向かって、僕は言葉を放ち続けようと思う。

急にこんなことを書いたのは、自分の姿勢をはっきりと示しておきたかったからだ。

今日は、テレビで、アシモが走ってる映像を良く見た。
なんだかすごく滑稽だった。
ロボットが走るって、すごいことなんだろうけど、
僕が小さいときに想像していた未来って、こんなんだったかなって考えた。
そしたら、上のようなことに思考がシフトしてしまったというわけだ。

昨日からミドリと連絡が取れない。
携帯の電源が入っていないらしい。
心配だ。

あの事件のあと、
少なくとも僕と付き合うようになってから、
こんなことは一度もなかった。
電話が使えなくなるのなら、事前に必ず報告があった。

もしかしたらミドリの身に、また何かあったのかもしれない。
いてもたってもいられない。

今日はもう遅いから、明日、ミドリの両親に聞いてみよう。
友達にも。
気に食わないが、アキラや岡野さんにも。
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