落ちこぼれプリンセス

「家から送られてきたお菓子があるんだけど、よかったら一緒にお茶にしませんか?」

日本に来てから一週間とちょっと。寮の食堂で食事をしているけれど、こちらの料理はなかなか美味しいことが分かっていた。でもまだ、お菓子などのスイーツの類いは食べていない。甘いものが大好きな私は、浮き足だってしまった。

「良いわよね。」
と振り返ったまさみの顔は、分かっているよね?と言わんばかりの表情だった。

一瞬にして緊張する私。

まさみは彼女たちを招き入れると、給湯室でお茶を入れてくるわねと、部屋を出ていってしまった!

言われたことは分かっているけれど、いきなり一人にすることないじゃない!余計なことを言ってしまうかもという恐怖から、黙って下を向いてしまった。

部屋に微妙な空気が流れる。

女の子の中の一人、まさみがさくらさんと呼んだ子がおずおずと私にたずねてきた。
「もしかして、私たち図々しかったかしら?」

私ははっと顔をあげた。今の態度は拒絶と同じだ!
「そんなことありません!」
勢いよく言った私の言葉に、彼女たちは少しホッとした様子になったものの、会話は弾まなかった。

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