落ちこぼれプリンセス
「はいっ!前向きに、ポジティブに、プラス思考で頑張ります!」
また心を読まれた?と思い、動揺してしまった。
ビシッと音がしそうに手を挙げて、勢いよく立ち上がったおかげで、椅子が後ろにひっくり返ってしまった。

努めて明るく(勢いよく?)言った私とは逆に、まさみの表情は固く強ばっていた。

手のひらの上には、円形のモニターが浮かんでいる。スカイビジョンといって、元々は凄く大きく、アルジアとその他の国々との通信手段だった。それが近年、手のひらサイズに出来る魔法が開発され、誰もが使える通信手段となった。この世界の携帯電話やタブレット端末みたいなものかな。
でも大きく違うのは、通信料がないこと!自分の魔力を使うから、お金はかからないのだ。しかも!私みたいなよわーい魔力でも使えちゃう優れもの。
この世界に居ながら、アルジアの王立図書館の本を閲覧することも出来る。
今では、なくてはならないものだ。

そんな便利なものを、まさみは厳しい表情で見つめている。

私は振り上げていた手をそろそろと下ろしながら、恐る恐る聞いた。

「何かあったの?」

「空間の歪みが見つかったって…。」

「えぇっっ!!!」
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