落ちこぼれプリンセス
『空間の歪み』は、相当な強い魔力を持った者でなければ、作ることは出来ない。
昔、他の国を侵略しようとして、この魔法を使った人がいたらしい。歪みを作る事は成功したものの、それと同時にその人は消えてしまい、歪みも消滅した。そのまま行方不明で、時空の狭間に飛ばされて今も漂っているとか、歪んだ空間の圧力に身体が耐えきれずに分子レベルまで分解されたとか、色々な噂話が今でもされている。(その人が消えた場所は、今ではちょっとしたホラースポットだ。)
確か、この50年間でこの魔法が使えたのは、私のおじいさまだけだったはず。
つまり、『空間の歪み』が本当なら、おじいさまと同じくらいの魔力を持った者がいるってことだ。
問題はそれだけではない。何処にその『歪み』が現れたかだ。
「ルーン王国のネグルの森に現れたみたい。」
「………」
私が言葉を発することもできないでいると、まさみは一言、
「最悪ね。」
と、だけ言った。