落ちこぼれプリンセス
「日本は、風の扉の先にある別次元の世界の小さな島国だ。」

益々解らない。そこはアルジアよりも強力な魔力で守られているのだろうか。
怪訝な顔をしているであろう私に、今度はお母様が言った。

「別次元のその世界は、日本に限らず魔法が存在していません。だからこそ、あなたを隠すのに都合が良いのです。」

あぁ。なるほど。魔力のない私を、魔力を持たない人々の中に隠す。つまり…
「木を隠すなら森の中、という事ですか。」

私の答えに、二人はうなずいた。

「ただ、お前一人では不安だろうから、ボディーガードを兼ねて世話役を付ける。その者には話がついている。先程呼んでおいたから、間もなくここへ来るだろう。」

お父様がそう言うと、ちょうど扉をノックする音が聞こえた。
「入りなさい。」

「失礼致します。」
そう言って入ってきたのは、私の幼なじみで親友だった。
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