落ちこぼれプリンセス
「しばらく日本で生活するには、日本の名前がないと不便ですからね。そもそも、名前には力があります。身を隠す時に、本当の名前を使うのは得策ではありません。」
そう言うと、お母様は私たち二人に仮の名前をつけた。

名前はまだ良いけれど(ちょっと、芸名みたいで)、なんで髪型まで変えないといけないのか。

「あなたはそのままで大丈夫そうね。問題はあなたよ。」
お母様は私に言った。

「向こうの世界では、その髪型も髪や瞳の色も目立ってしまうわ。大丈夫。こちらに戻り次第、直ぐに元に戻してあげますからね。」

にっこり笑うお母様の言葉には、誰も逆らえない。

私は唯一の自慢だった髪も捨て、日本へとやって来た。
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